福岡・北九州市立美術館 常設展Ⅰ
ドガの描き方が気に入らなかったためマネによってマネ夫人の顔が切り裂かれた「マネとマネ夫人像」の所蔵で有名な北九州市立美術館へ行ってきました。(ただし美術館のチケットなどには、ルノワールの「麦わら帽子を被った女」が印刷されていましたので、本来はこちらの方が有名かもしれません。)
さて展示の最初は、郷土作家のコーナーで印象に残った作品が、かぼちゃのバベルの塔(集合マンション)に住んでいる多くの人物がユーモラスに描かれている川原田徹「かぼちゃ浄土」でした。以前Bunkamuraギャラリー「異次元ノ世界展」で瀬戸内海を背景としたレトロチックなバベルの塔の版画作品が印象に残っていましたので、この美術館で油絵を見ることが出来まして感激しました。また、今回実際に北九州に訪れて丘陵に住宅街が出来ている風景が、川原田作品のかぼちゃ(バベルの塔)に見えてきまして、なるほどと感心しました。
次に、近代美術コーナーで冒頭に紹介した2作品は、ここにありました。しかし、ここで最も印象に残ったのが、寺田政明「雪の運河」でした。この絵は、画用紙に深い緑色をベースとしたクレヨンで描かれたようなザラザラした質感を持った油絵でして、良い意味で冬の枯れた味わいを醸し出していました。
東洋美術コーナーの「文字のようなかたち かたちのような文字-文字とかたちの密やかな関係」では、書、浮世絵、油絵などのごった煮で展示の意味あいが掴めませんでした。この中で荒川修作「最後の次に」は、ダ・ヴィンチの最後の晩餐の登場人物の稜線を模り、言葉が綴られていまして面白いと思いました。
コンテンポラリーコーナーでは、アスファルトで絵画を描いた九州派のように左右両脇に水色の厚くザラついた層を持ち、中心部が平坦な層で右上から左下にかけて重ねて水色が塗られ、雨や滝などの水が落ちる情景を連想させる菊畑茂久馬「月光 十六」が美しかったでした。
テーマーコーナーの「数々の美」で印象的だったのは、メル・ボクナーの「36点の写真と12枚の図式」が7x7マスに1~4の数を数列的に割り当て、実際にそれに対応する1~4層の立方体の積木で立体を構成して上面、正面、斜視の写真で表現したものでした。数列が綺麗な形に揃っているのが視覚的に分かり、楽しめました。
その他、別館では次期企画展の「超現実主義の世界展」に合わせているのか分かりませんが、シュールな作品の「池田満寿夫版画展」が開催されていました。また屋外では、フランク・ステラの鉄オブジェ(彫刻)「八幡ワークス」が圧倒的な存在感と北九州の代表的な産業の製鉄に密着した作品で印象的でした。
全体としての感想は、近代よりも多様な現代作品を見ることが出来まして良かったでした。


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