比治山アートプロジェクトを鑑賞後、全国を巡回している草間彌生展が広島市現代美術館へ来ていましたので、見に行きました。アートスケープ学芸員リポートの記事によりますと、巡回している各美術館で副題が異なり、それぞれの切り口で展示されているそうです。広島の副題は、「魂を燃やす8つの空間」というもので、8つのカテゴリに作品を分類し、それぞれを1つの部屋に展示していました。
<1.突起の部屋>
「The Man」というその名の通り男根状の突起に”やかん”が、ぶら下がった作品からも想像できますように、様々なオブジェに男根を連想させる白色や銀色の突起が沢山ついて、鑑賞者を視覚的に脅迫する作品類でした。中でも、「死の海を行く」はボートに突起がついた作品で、数年前に東京都現代美術館で開催された草間彌生展にも目玉として出品されていたものでした。また、変り種としては、金色のバラの花がついている「フラワーシャツ」という作品もありました。
<2.絵画の部屋>
「無限の網」などの絵画の部屋で、平面的な網が色彩や網の密度差、規則的な線の導入などによって遠近感や立体感が演出されていました。また、それぞれの網(絵画)をwindowsの壁紙を並べたようにした場合には、どのような立体感が考えられるのだろうかと推測しながら鑑賞していました。
<3.映像の部屋>
水玉模様をつけた赤い服を着た作家がニューヨークの公園内で、これまた水玉模様をつけられた馬に乗りながら池までいく「SELF-OBLITERATION(自己消滅)」という、パフォーマンス作品でした。以前丸亀の猪熊弦一郎美術館で開催された草間彌生展で上映されていた映像作品よりもインパクトの少なくおとなしいものでしたので、今ひとつ前衛的な面が見られず残念でした。
<4.植物の部屋>
植物の部屋の前に小品の部屋があり、濃色の青に赤く浮かぶ太陽の様な円形が描かれた静寂を感じさせる「不知火」という作品が、川端康成記念会蔵になっていまして文豪も所蔵していたのかなと思いました。植物の部屋では、「南瓜」という黒い水玉模様を持った黄色い様々な形をした南瓜のオブジェが6x8個棚に並べていました。今まで直島のベネッセアートサイトや福岡市美術館で大きな南瓜のオブジェを見てきまして、その姿形は同一のものと思っていましたが、色々な形があることは新たな発見でした。また、「再生の時間」という黒い水玉模様を持った指のような円錐状の曲がりくねった赤いオブジェが森の木のように沢山並べられたインスタレーションは、植物そのものではないですが生命感のある作品でした。さらに、「天の川」という網目の絵画作品は、赤く太い線と青く細い線で描かれていまして動脈、静脈の血流をイメージする躍動感がありました。
<5.バルーンとミラーボールの部屋>
ミラーボールは、多数並べた「ナルシスの庭」という代表作が展示されていました。バルーンは「水玉脅迫」というクサマトリックスでも展示されていました赤い水玉を持った白いピーナッツ形状をしたものが浮かんでいました。
<6.ミラールームの部屋>
コンクリートの床に、少ない展示物で非常に殺風景な部屋になっていましたが、これはキュレーターさんがミラールームの無限感と対比させるために演出したそうです。その効果もありまして、赤い突起がミラールーム内で無限に広がる「終わりなき愛」や、ハート型の鏡に縁取られた赤いライトによってハート型の奥行のある光を鏡面に放つ「ゴットハート」が、雑念なく鑑賞することが出来ました。
<7.ブラックライトの部屋>
「I'm Here, but Nothing」というブラックライトに照らされた食卓や本棚に水玉模様が怪しく光る不思議な世界でした。題名の通り草間の初期のポスターなどが貼ってありました。ここだけは、草間スタジオが私的に撮影することを許していました。私は知らずにカメラを持ち込まなかったので、記念撮影できませんでした。残念でした。
<8.暗い部屋>
ちょっと強引な分類だと思いますが、どちらかというとミラールームの部屋に近い作品です。一つは、クサマトリックスでも展示されていました「天国への梯子」という梯子の上下にある鏡の効果により、無限に梯子が繋がっている作品でした。二つ目は、「水上の蛍」という作品で、下面は水面で、それ以外の面が鏡で囲まれた空間に様々な色の電球がぶら下がり鏡と水面の反射の効果で蛍のように無数に光っている部屋の中に鑑賞者が一人ずつ入り体験するものでした。他の作家の似たような作品ではベネッセアートサイトの角屋にある宮島達男の暗い家の水が張られた床面にデジタルカウンターが動いている「Sea of Time '98」と比較すると、草間の作品は静かで秋のような季節感を感じさせるものでした。
全体を通しては、各部屋には同系統の作品が展示されていましたので、それぞれ比較しやすかったのが、良い点でした。残念な点は、この作家がどうのような活動をしてきて、どのような作品を生み続けているのかという思考のプロセスが、今回の展示では捉えにくかったでした。

草間彌生オフィシャルサイト
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